私がジュビロファンになったのは2002年のことである。ダンナはもともとサッカーが好きで、私を地元により近いエスパルスサポにしようとしていたのだが、いつの間にか心底ジュビロサポになっていたのだった。なぜなら、当時の清水よりも磐田の方が面白いサッカーをしていたからである。現在それが逆になっているのは残念なことだ。
清水の試合もよく見るが、あそこにはきちんと約束事がある。だから守備が大崩れすることもないし、うまくはまった時の清水は憎らしいほどに強い。
強いて清水の弱点を挙げるならば、それは決定力不足くらいであろう。固定された戦術・ポジション、選手間の程よい競争が今の清水の強さを作りあげている。伊東輝悦など優れたベテランと、枝村匠馬など台頭してきた若手との融合がうまくいったのも強みだ。
もちろん、清水が今の清水たる前には世代交代のための苦悩の時期…監督がコロコロ替わったり、2005年は15位と低迷したりした…があるわけだが、その下積みあっての現在の好調があるだろう。
対して、磐田はどうか。かつてのメンバーが素晴らしすぎたがゆえに、新戦力の獲得を怠り、その主力たちが三十路を越え能力が下降し出してから、慌てて若返りをはかっているのが現状である。
近年、他チームと選手獲得を争って磐田が勝ったというのをあまり聞かない。清水に入った矢島、藤本にしろ名古屋に入った巻にしろ、噂は流れたが他チームに決まっていった。フロントに予算がないのか知らないが、ちょっとそれはどうなのよと言いたくなる補強である。
磐田の現在の衰弱は、主力のケガが大きいかもしれない。前田が長期離脱するとわかった時点で、なぜ長身FW獲得をしなかったのか。これはいまだに数多くのサポーターの疑問であろう。
世代交代にはベテラン離脱がつきものではあるが、磐田ほど「采配が不満」や「サッカー観の違い」など選手側の好き嫌いで選手が出ていくチームを私は知らない。出場機会を求めて移籍した藤田俊哉の移籍は悲しいが受けとめたし、新天地での活躍を祈ったものだ。だが昨年から名波、服部、福西と大黒柱だった選手たちが、あからさまにチームへの不満を口にして移籍していくのには、悲しみを通り越してあきれてしまった。
そして、予算の削減か何か知らないが中村、西野、藤井、松下など若年の選手を一気に放出した。その結果、支配下選手が少なく苦しいやりくりを迫られている。
ベテラン流出により、突出した個を持つ選手が少なくなっている。日本代表に川口能活GKしか選出されないのは、つまりそういうことだろう。
いったい磐田はどうなってしまうのか?かつて強かったからなんとかなる…そんな考えが幻想だと、東京ヴェルディが教えてくれた。成績不振だと「J2に落ちればいい」という人もいるが、落ちれば草刈り場となるばかりである。現代表も元代表も、有望な若手もごっそり辞めていくだろう。その時が来ないよう、私は強く願っている。