ジュビロ磐田はサンフレッチェ広島と、サッカーの聖地国立競技場でナビスコカップ決勝戦を戦う栄誉を得た。
ツレ「こんなに緊張するのは、2008年の入れ替え戦以来だね」
私「でも、入れ替え戦はいやなドキドキだったけど、今日はうれしいドキドキだよ」
ここまで、この場所に来られたことを誇りに思いたい。
ついにキックオフ。
コイントスで負けたのか? 前半は西日が直接当たり、GKにとっては不利なエンドになってしまう。
「これじゃあ、GKボールが見づらいよね…」
西日は容赦なく照りつけ、磐田サポーターも直射日光でまぶしいために、広島側で上田選手に出されたイエローカードも視認できなかったほどだ。
しかし、予期しなかった先制点が生まれる。
ツレ「船谷のヘッドだよ! 珍しいな初めて見た…」
あとからインタビューでは、船谷選手人生二度目のヘディングだったと聞く。それが決まるのがサッカーの不思議だろう。
よし、この一点を守りきれば優勝が見えてくる…。
そう思ったのもつかの間、弱点の左サイドをスルスルとミキッチ選手に破られ、ゴール前で待っていた李忠成選手のコロコロゴールが決まってしまう。
「やばいよ、弱点左だってバレているよ…!」
ツレ「そりゃあ、バレているだろ。しかしミキッチ、キレキレだな」
前半は1−1のイーブンで折り返し。ジウシーニョ選手が、接触プレーから少し足を痛めているようで心配だ。
前半終了間際にイ ガンジン選手がどこか痛めたようで、交代かと思っていたが後半磐田は交代なしでスタート。
しかしその後半早々、与えたくなかった追加点を山岸選手に決められてしまう。
「上手いな山岸、さすがオシムジャパンだけはある…」
そのガンジン選手が負傷交代。リーグの新潟戦は大丈夫なのだろうか。
「ああ、負傷交代で戦術的な交代が削られてしまったよ。ダメなら後半開始から交代でもよかったのにな」
ツレ「できるかってきかれたら選手はやりますって言うだろ。仕方ないよ。大井くんにがんばってもらうしかない」
後半はエンドを変わった広島側に西日がさすので、攻撃のチャンスと思ったが、なんと天は広島に味方する。にわかに空はかき曇り、太陽が隠れた。これでは、GKはまったくまぶしさを感じることなくプレーできる。
「やられた…地の利は広島にある。やばいよ」
後半1−2のまま、時間だけが過ぎてゆく。じりじりとし始めた88分、ついにエース前田がこぼれ弾を押し込み、試合は2−2の振り出しに戻る。
ツレ「やった。延長だ!」
「延長だな。広島の方が中二日というけれど、磐田は台風の中川崎と戦ってダメージがあるし、疲労度は同程度かな。すると若い広島に分がある…」
ツレ「なんの、うちだって若いよ。でも、これで西くんを全部使うんだな」
ビジョンに、各チームの様子がアップで映し出される。各人、ストレッチを行っている。
ツレ「広島の選手は表情が暗いが、追いついたうちは表情が明るい。大丈夫、いけるよ」
両者早めに交代枠を使い切っていたので、そのまま延長戦に突入。
「みんな疲れてる。相手も疲れてるよ」
ツレ「フレッシュな実、ギュンギュンが走ってくれ!」
監督の交代が当たり(?)その、実・ギュンが疲労の見える広島DFの間をかいくぐり次々とゴール!
4−2で試合が決まったかに思えたが、広島も粘り強く槇野のFKが壁の間をすり抜けて決まり、4−3へ。
予断を許さぬ状況の中、ついにエース前田選手が角度の無いところから技ありゴール!
5−3と突き放す。
試合終了間際、微妙な判定のPKで槇野選手が後ろ向きから振り向いてシュートを放つが、川口能活GKが会心のセーブ。こぼれ弾も枠をそれてゆき、能活GKに磐田選手たちが駆け寄る中、試合終了の笛が鳴った。
ジュビロ磐田がナビスコ杯を手にした瞬間だった。
表彰式、準優勝の広島選手たちは悔しそうではあったが、彼らはパスをよくつなぐいいチームだったと思う。
ただ、後半守りきろうと、普段の広島攻撃サッカーを収めたところに磐田が追いつくチャンスが生まれたように感じた。この悔しさをバネにして、さらに強く厄介なチームへ生まれ変わるだろう。
優勝のカップを手にして、どの選手もはちきれんばかりの笑顔だった。怪我で戦列を退いていた選手たちも笑顔で全員集合して、サポーターにとっては夢のような瞬間だった。
このチームを応援していて、本当によかった。さあ、次の戦いが始まる。
喜ぶ前田さん。あ、シャッターの瞬間、横向いちゃった。
遠くからだとボヤにしか見えないが、青い紙ふぶき(?)です。
すてきなステージを提供してくださったナビスコさま、ありがとう!
これからナビスコのスナックをおやつにいたします!