よく晴れた昼、ヤマハスタジアムに到着。
チケット完売もあってか、Bゲートはたいへんな混雑。年チケのコルテアズー入場組ですら、ゲート外で待つ珍事となった。
G大阪は、今年降格圏に沈み、最終節に脱出をかけている。対する磐田は、その前の絶不調から優勝もACLも、賞金圏内すらも逃してしまった状態。何もない、モチベのない状況で何を目指すのか−、試合を見てわかった。磐田がこの日目指したのは、勝利。ただひたすら勝利を希求することだった。
もちろん、残留をかけたガンバも気合いが入らぬわけがない。同じくらいの気合いを持った選手たちがぶつかりあい、ピッチの熱気がぴりぴりと伝わってくる。
先制点は、磐田に生まれた。エース前田選手が、相手DFのクリアボールに詰めてゴールネットを揺らす。久々の先制点にわきかえるヤマハスタジアム。
ガンバサポの声援が一段と大きくなる。一進一退で前半を折り返し、後半頭にするする抜けた倉田選手が、DFの妨害をものともせずにゴールを決め、1−1に。
これで勝負は振り出しに戻った。
新潟は札幌に点差をつけて勝っている。勝利しかないガンバは一気に攻勢に出た。すさまじい波状攻撃に、身を投げ出しギリギリでクリアする磐田選手たち。
やられた、と思ったシュートがクロスバーで跳ね返ったり、揺れたゴールネットがオフサイド判定となるなど、リーグ1位であるガンバの攻撃をしのいだ磐田は、粘り強いボールキープからチャンスを作る。小林選手のシュートが角度のないところから決まり、2−1に。
ヤマハスタジアムはピッチが近いため、CKの際に遠藤選手の表情が見えた。つらそうな、苦しそうな表情だった。日本代表で、歴戦の勇者である遠藤選手が、だ。
「遠藤があんな苦しそうにしているの、見たことがないな…」
ツレがぽつりと言った。
ロスタイム、4分。後半入った金園選手がユニークな動きでガンバDFをかく乱。長い笛が響きわたると、激闘を終えた敵も味方もピッチにくずおれた。磐田が勝ったのだ。